NPSを強化するカギとは?

「当社のサービスを友人や同僚の方にどのくらい薦めたいと思いますか? 0から10までの数値で評価してください」

企業は自社の顧客体験の評価を行うため、上記のような質問を毎日何千回もウェブや店頭、スマホで行っている。こうした指標の中で最も使われているのがNPS(Net Promoter Score)だ。「どのくらい人に薦めたいか」というごくシンプルな質問によって顧客の推奨度(満足度ではない)を測るもので、ビジネス界に革命をもたらした。

多くの企業が顧客体験である清潔度や待ち時間などの運用面や機能面(operational and functional)と並行して、推奨度(advocacy)の収集・トラッキングにも多額の投資を行っている。幹部らは情報を駆使して問題点を取り除くためにできる限りのことをし、スコアが伸びるのを期待する。だが期待はずれに終わると(最悪の場合スコアが下がると)、理由はわからずじまいであることが多い。手元にこれほど大量のデータがあるのに、なぜうまくいかないのか? NPSが単に上がった/下がったことしかわからない場合、どのデータポイントが本当に重要なのか知るにはどうすれば良いのだろう?

厄介なのは、顧客に不満な点について聞いても「待ち時間が長かった」という答えが返ってくるだけということだ。彼らは、例えば「時間を無駄にした」とか「ぼったくりではないか」など、長時間待たされたことでどう感じたかを述べようとはしない(あるいはままあることだが、そこまで話すよう求められているとは思っていない)。こうしたことは、とりわけ顧客が説明するのを苦手とするテーマなのだ。長い列に並ぶのが苦痛という訴えに嘘はないものの、その苦痛な時間を解消するための手がかりとなるストーリーなり鍵なりを与えてくれないのである。

自分たちは果たして適切な要素を測定できているのか、あるいは完全に見逃している要素があるのではないか、などと企業が疑問視し始めた理由はここにある。実のところ、彼らは機能・運用面(functional and operational)の要素のみを測定することで、全体像の一部分しか見ていない。見えていない部分にこそ、顧客を強く駆り立てる感情的手がかりが隠されている。これらが顧客から推奨を引き出し、NPSを伸ばす鍵なのだ。

従来型の測定だけでは不十分である理由

現状について考察するなら、多くの測定法が設計された時代を振り返ってみる必要がある。ビジネス成果指標の多くが作られたのは、顧客がテクノロジーや選択肢によって力を与えられる前、すなわち彼らの声が容易に共有され拡散できるようになる以前の時代だ。現在は顧客の期待も変化し、それに伴って企業中心から顧客中心の製品開発・体験・コミュニケーションへとシフトしている。

つまり従来型の顧客満足度・推奨度測定だけでは、もうこうした変化に追いつくには不十分なのだ。例えば、作られた当時は極めて革新的で今や不可欠となったNPSの考え方も、企業中心の時代に誕生した。「当社のビジネスをどのくらい薦めたいと思いますか?」という設問は、いかにも企業目線からの顧客推奨意向である。

顧客の感情を無視することは、顧客から選ばれ他の人に薦めてもらえる機会を逃すことを意味する。同時に、企業がNPSをはじめとする従来型の測定法への投資から最大価値を得られていない証左でもある。

NPSを補完する「CXC」とは

従来型の測定を補完・強化するため、弊社 C Spaceが9万5,000人の顧客にリサーチして4年をかけて構築したのが「Customer Experience Code」(CXC)だ。以下のような質問をして、企業中心の筋立てを顧客目線の推奨意向に転換する。「私たちはお客様を”理解”できていますか?」「私たちは、お客様ご自身が賢いと感じられるような、尊重されていると感じられるようなサービスができていますか?」「私たちは、お客様をまず第一に優先していますか?」

顧客体験の理性的・感情的要素の両面の測定を並行して行うことが、NPSやその他の重要な成果(この類のことに関心がある人のために言うと、2つの要素に関する相関係数の2乗(R2)を高めること)を予測する上で、信頼性を高め、しっかりとしたアプローチにつながるのである。

そしてさらに重要なのは、感情の測定がより予測的なモデルを作り上げるだけでなく、顧客の行動も予測できるという点だ。C Spaceでは自己申告の感情的反応と推奨行動を統合する調査手法を採っている。それを企業が持つファーストパーティの購買データと組み合わせることで、例えば、否定的な感情がブランドへの失望につながることが発見できる。これは売上の減少予測に繋がるのだ。

その後顧客の自由回答のテキスト分析によって、具体的にどの側面がこうした否定的感情を生み出すかがわかる。このタイプのリサーチは、顧客の感情をどう解読し顧客体験を高めることに関する詳細(つまり確かな裏付け)を提供するのに非常に有効である。

NPSとCXCの組み合わせは最強のツール

この2つの手法の組み合わせは、より多くのことがわかるようになる。

現在はどの測定法も、単独では顧客推奨度を上げるものを正確に解明できていない。感情的要素・機能的要素は補完的だ。そして世の中のあらゆるペアリングと同じように、両方一緒の方がどちらか単独よりも大きな力を発揮する。ブランドと顧客の考え方を結合させるNPSとCXCのペアリングは、消費者推奨を構築する最強の戦略的・実用的ツールを提供し、最終的に企業に成長をもたらすのである。

* C Spaceの“Customer, Experienced.”の詳細はこちらまで。

Christina Stahlkopf
C Space シニアコンサルタント

ボストンオフィスでシニアコンサルタントを務めるChristina Stahlkopf(Ph.D.)は、当社グローバルリサーチの主要メンバー。統計で物語を紡ぐのを得意とし、当社の「2018 Customer, Experienced. 」調査では主任リサーチャーを務めた。社会学者、エスノグラファー、作家でもあるChristinaは、社内きっての開拓者であり、ブランドが革新し境界を押し拡げる方法を常に打ち出している。休暇にはスキー場で過ごすか、夫や二人の娘と共にウィニペソーキー湖で水上スキーに興じることが多い。

Manila Austin
C Space リサーチ部門ヴァイスプレジデント

リサーチ部門ヴァイスプレジデントのManila Austin(Ph.D.)は、データ・分析を専門とする当社グローバルチームのヘッドを務めている。13年前の設立以来、受賞歴を持つリサーチチームを率い、組織的行動、チーム/群衆力学、経営開発コンサルティングに関する豊富な知識を役立てている。Manilaの心理学の学位が十分に評価されていなければ、当社の「Customer, Experienced. 」調査の創設や、彼女の「Fernanda Monti Award」受賞、論文審査のある学術専門誌に掲載された多数の著作もなかったかもしれない。人間の心理を離れて一息つきたい時には、ピラティスやハイキングに没頭する。時には彫金のスキルを活かして、マサチューセッツ州ケンブリッジで自分だけのジュエリー作りに勤しむこともある。

Translated and edited from “The Keys to Unlocking NPS” , cspace.com

https://cspace.com/the-keys-to-unlocking-nps/